2026年3月05日
患者さん向け健康情報
血圧を知って、上手に管理しよう
高血圧は「沈黙の病」とも呼ばれます。正しい知識と日々のケアで、健康な毎日を守りましょう。
血圧とはなにか?基礎知識
血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力のことです。血圧は「収縮期血圧(上の血圧)」と「拡張期血圧(下の血圧)」の2つの数値で表します。
120
mmHg
収縮期血圧(上)
/
80
mmHg
拡張期血圧(下)
🔍 2つの数値の意味
上(収縮期):心臓(左心室)が縮んで血液を全身(大動脈)へ押し出すときの圧力
下(拡張期):心臓(左心室)が広がって血液を(左心房から)受け入れるときの圧力
上(収縮期):心臓(左心室)が縮んで血液を全身(大動脈)へ押し出すときの圧力
下(拡張期):心臓(左心室)が広がって血液を(左心房から)受け入れるときの圧力
以前から、「血圧はやや低めに管理した方がよいのではないか」という議論がありました。
その代表的な研究が、 SPRINT trial です。 この大規模臨床試験では、収縮期血圧を120mmHg未満に厳格に管理した群(糖尿病の患者様などは除外されておりました)で、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントが減少しました。 一方で、副作用(低血圧、電解質異常など)も増加しており、 「すべての方に一律に厳格管理を行えばよい」という単純な話ではありません。 そのため現在のガイドラインでは、 年齢や合併症、心血管リスクを考慮した個別管理が推奨されています。
⸻ 寒い時期は特に注意 冬から春にかけては血圧が上昇しやすい時期です。 • 血管収縮 • 交感神経の活性化 • 朝の急激な温度変化 特に朝の血圧(モーニングサージ)が高い方は、 家庭血圧測定が重要になります。 ⸻
※早朝血圧が高い方は血圧がコントロールされている方と比べて、脳卒中などを引き起こすリスクが約4倍高いと以前からいわれております。
血圧の分類
日本高血圧学会のガイドラインでは、成人の血圧を以下のように分類しています。
| 分類 | 収縮期血圧(上) | 拡張期血圧(下) | ||
|---|---|---|---|---|
| 正常血圧 | 120 未満 | かつ | 80 未満 | 理想的 |
| 正常高値血圧 | 120〜129 | かつ | 80 未満 | 注意 |
| 高値血圧 | 130〜139 | または | 80〜89 | 要注意 |
| 高血圧 I 度 | 140〜159 | または | 90〜99 | 高血圧 |
| 高血圧 II 度 | 160〜179 | または | 100〜109 | 高血圧 |
| 高血圧 III 度 | 180 以上 | または | 110 以上 | 重症 |
※単位はすべて mmHg。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」をもとにクリニックが独自に作成。
⚠️ 高血圧は「自覚症状がない」ことがほとんど
高血圧の多くは自覚症状がなく、知らないうちに血管や心臓にダメージを与え続けます。放置すると脳卒中・心筋梗塞・腎不全などのリスクが高まるため、定期的な測定と管理がとても大切です。
高血圧の多くは自覚症状がなく、知らないうちに血管や心臓にダメージを与え続けます。放置すると脳卒中・心筋梗塞・腎不全などのリスクが高まるため、定期的な測定と管理がとても大切です。
血圧に影響するおもな要因
塩分の摂りすぎ
ナトリウムが水分を保持し血管への圧力を高めます。
運動不足
血管の柔軟性が低下し、血圧が上がりやすくなります。
ストレス・疲労
交感神経が緊張し、一時的に血圧が上昇します。
飲酒・喫煙
血管を収縮させ、血圧を上げる要因になります。
加齢
血管の弾力が低下し、血圧が上がりやすくなります。
遺伝・体質
家族に高血圧が多い場合はリスクが高まります。
家庭での正しい血圧の測り方
病院での測定は「白衣高血圧」といって、緊張から普段より高くなることがあります。毎日自宅で測る「家庭血圧」のほうが、実態に近い値がわかるためとても重要です。
🏠 家庭血圧の基準値
家庭血圧では 125/75 mmHg 以上を高血圧と判定します(JSH2025)。病院での基準(130/80)より少し低く設定されています。
家庭血圧では 125/75 mmHg 以上を高血圧と判定します(JSH2025)。病院での基準(130/80)より少し低く設定されています。
測定の手順
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測定前に5分間、安静にする座った状態で背もたれにもたれ、足は床につけてリラックスします。測定直前の運動・飲食・喫煙は避けてください。
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上腕(二の腕)に血圧計のカフを巻くカフは心臓と同じ高さになるように。手首式より上腕式のほうが精度が高くおすすめです。
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測定中は話さず、静止する腕に力を入れたり、動いたりすると正確な値が出ません。
-
1〜2分間隔で2回測り、平均値を記録する2回の値に大きな差がある場合はもう1回測定します。
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朝と夜、決まった時間に記録する朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食前。夜:就寝前。毎日継続することで変化が把握できます。
記録表の例(1週間分)
| 日付 | 朝(上) | 朝(下) | 脈拍 | 夜(上) | 夜(下) | 脈拍 | メモ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 月 日 | |||||||
| 月 日 | |||||||
| 月 日 | |||||||
| 月 日 | |||||||
| 月 日 | |||||||
| 月 日 | |||||||
| 月 日 |
※この記録表はクリニックが独自に作成したものです。受診時にご持参いただくと診察に役立ちます。
✅ 受診時に記録をお持ちください
家庭で記録した血圧の値は、診察時の大切な情報になります。手帳やスマートフォンに記録し、受診の際にぜひご持参ください。
家庭で記録した血圧の値は、診察時の大切な情報になります。手帳やスマートフォンに記録し、受診の際にぜひご持参ください。
薬の役割と治療について
高血圧の治療は、まず「生活習慣の改善」から始まります。それでも血圧が下がらない場合や、リスクが高い場合には、降圧薬(血圧を下げる薬)による治療を行います。
生活習慣の改善が基本
減塩(1日6g未満)
食塩の摂取量を減らすことが最も効果的な対策のひとつです。
適度な有酸素運動
ウォーキングなどを週3〜5回、1回30分程度行うと効果的です。
適正体重の維持
体重を1kg減らすと収縮期血圧が約1mmHg下がるとされています。
禁煙・節酒
喫煙は血管を傷め、過度な飲酒は血圧を上昇させます。
おもな降圧薬の種類
降圧薬にはいくつかの種類があり、患者さんの状態や合併症に応じて医師が選択します。
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Ca拮抗薬カルシウム拮抗薬血管を広げて血圧を下げます。副作用が比較的少なく、日本で最もよく使われる降圧薬のひとつです。
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ARB / ACE阻害薬、ARNIレニン・アンジオテンシン系阻害薬血管を収縮させるホルモンの働きをブロックします。腎臓や心臓を保護する効果もあり、糖尿病や慢性腎臓病を合併している方に特に有用です。塩分摂取量の多い方には、最近上市されましたARNIや下記しております利尿薬を使用しながら血圧をコントロールすることもあります。
-
利尿薬サイアザイド系利尿薬余分な塩分と水分を尿として排出し、血液量を減らして血圧を下げます。少量でも効果的で、他の薬と組み合わせて使うことが多いです。
-
β遮断薬β(ベータ)遮断薬心臓の拍動数を減らして血圧を下げます。狭心症や頻脈(脈が速い)を合併している方に使われることが多い薬です。
❗ 自己判断で薬を止めないでください
「血圧が下がったから大丈夫」と自己判断で薬を中止すると、急激に血圧が上がり危険な状態になることがあります。
「血圧が下がったから大丈夫」と自己判断で薬を中止すると、急激に血圧が上がり危険な状態になることがあります。
最近、当院でもありました事例となりますが、内服によって血圧がコントロールされていたことで安心してしまい内服を自己中断されてしまったことで、おそらく血圧が著しく上昇してしまい脳出血を起こしてしまったという報告をいただいたことがありました。
薬の変更や中止については、必ず主治医にご相談ください。
治療の目標血圧(JSH2025)
2025年の改訂で、目標血圧が年齢・合併症を問わず原則統一されました。新ガイドラインでは全成人で同じ目標を目指します。
| 対象 | 目標(診察室血圧) | 目標(家庭血圧) |
|---|---|---|
| すべての成人(年齢・合併症を問わず原則共通) | 130/80 mmHg 未満 | 125/75 mmHg 未満 |
⚠️ 個別の状況による調整について
めまい・ふらつきがある方、フレイル(虚弱)傾向の高齢者、腎機能が低下している方などは、主治医と相談しながら目標値を個別に調整することがあります。一律に数値を下げることが目的ではなく、安全に達成できる範囲で管理することが大切です。
めまい・ふらつきがある方、フレイル(虚弱)傾向の高齢者、腎機能が低下している方などは、主治医と相談しながら目標値を個別に調整することがあります。一律に数値を下げることが目的ではなく、安全に達成できる範囲で管理することが大切です。
※日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」をもとにクリニックが独自に作成。個々の目標値は必ず主治医にご確認ください。
💬 気になることは何でもご相談ください
薬の副作用、飲み忘れた場合の対処、生活上の不安など、どんな小さなことでも遠慮なく医師・スタッフにお声がけください。一緒に無理のない管理を続けていきましょう!
薬の副作用、飲み忘れた場合の対処、生活上の不安など、どんな小さなことでも遠慮なく医師・スタッフにお声がけください。一緒に無理のない管理を続けていきましょう!
